清朝の王女でありながら、日本のスパイとなり、
戦後は「売国奴」として死刑を宣告された川島芳子。
その「処刑」から60年後の昨年11月、中国・長春に「川島芳子に育てられた」女性がいる、
とのニュースが飛び込んできました。
現地の報道によれば、芳子は替え玉を使って処刑をまぬがれ、「方おばあちゃん」として、
その後30年間も生き続けた、とか。
「ありえない・・・」との思いを抱きながらも、私たち取材スタッフはひとまず長春へ飛びました。
証言してくれたのは、画家の張鈺(ちょうぎょく)さん、41歳。
小さい頃、実の孫のように可愛がってくれた「方おばあちゃん」は、一体何者だったのか・・・。
その本当の身分を知ったのは、2004年末のことでした。
臨終を迎えた祖父が「方おばあちゃんは、実は川島芳子だったんだ・・・」との遺言を残して
この世を去ったのだといいます。
狐につままれたような面持ちの私たちの前で、張鈺さんの口から紡ぎだされる
晩年の「方おばあちゃん」のエピソード。
そして「芳子」につながる遺品の数々。
獅子像に隠された謎のメッセージは・・・・?
「李香蘭に渡して」と託されたレコードは・・・?
5ヶ月に渡る総力取材の結果、私たちは、「川島芳子は生きていた」と確信するに至りました。
事実は小説より奇なり。60年の時を越えて掘り起こされた「真実」の奥には、
小説や映画をも凌駕する、壮大な歴史ドラマが隠されていたのです・・・・。
■ディレクター 奥村健太 福沢めぐみ