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コラム


語られなかった東日本大震災 ~Episode 10~

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『孤島の孤帆』

宮城県塩釜市浦戸諸島

あの日、この島々を津波が縦横に襲った。

あの黒い波は、定期船や集落、漁船など
あらゆる“島の面影”を持ち去った。

陸上だけではない。
海上の桟橋、カキやノリの養殖施設も。
黒崎ディレクターがEpisode7で気仙沼のカキについて書いていたが、
ここ浦戸諸島でも、生活の糧だった。


(変わり果てたカキ養殖施設)

外部との連絡手段がなくなり、島々は孤立化。

島民は小学校校舎を避難所にし
一丸となって耐えたという。
頼りの自衛隊も、島に来たのは数日後。

2週間たった3月末に
島民が続々と本土へ去っていった。

そこから、島民が徐々に減る
カウントダウンがはじまった。

すべての漁業者は廃業を口にしていた。
漁業で成り立っていた島で
漁業ができなくなることは
つまり島に人がいなくなることと同じことなのだ。

絶望の海に奇跡が残っていた。
島々が津波を緩衝し
種カキが生き残ったのだ。

この種カキをもとに
島民漁師の廃業を思いとどめようと
立ち上がった若者がいた。

3月11日の前日に
引っ越してきたばかりの脱サラ漁師。

その方法は、
全国からインターネットで
支援金を募り、その恩返しに
いつか海産物を還元するというもの。

島民漁師の廃業を防ぐため
脱サラ漁師は島とは似つかない方法で
形振り構わず資材・設備投資費用を
かき集めたのだ。

1ヶ月で、なんと1億2000万円以上。

その結果に戸惑い始めている島民漁師たち。
支援の恩を返せるのか。

島民漁師は、もう十分と口をそろえる。

しかし、小泉さんは、もっと資金を集めたい。

「島を元気にしたい。
改革派にならないといけないんです。
前と同じにするには、簡単です。
今後の島のあり方を考えるなら、
島を元気付ける方法が可能な資金が欲しい。
僕は、島のはぐれ者になっても、
漁業改革したい」

三陸の海に浮かぶ島で
独り資金繰りに奔走する脱サラ漁師。

将来の島を考える脱サラ漁師と
支援に報いたい高齢の漁師。

文責:制作部 佐々木将人

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