【メディア・ワン 代表インタビュー】
趣味は散歩や料理など、「時間がかかること」。
理由は「企画やナレーションを考えながらできるから」という、趣味=仕事、根っからの「映像人」である弊社代表・奥村健太に、若手社員(三好眞子・2019年入社)がインタビュー!
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株式会社メディア・ワン 代表取締役
プロデューサー/ディレクター
奥村健太 (おくむら・けんた)47歳 最近ハマっているものは「呪術廻戦」
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Q よろしくお願いします!
早速ですが、この業界に入ろうと思ったきっかけは?
A 元々は新聞記者になりたかった。書くのがすごい好きで、高校の時に同人誌出したりとか小説書いてたりしたんです。大学も文学部、日本文学専修にいってたんだけど、文字だけで伝わるように書くのって難しいんだよね。そんなことを思ってた時に、大学の先輩がこの会社にいて、人が足りないから手伝えって言われてアルバイトを始めて、カメラ持って色んな先輩にくっついて現場に行ってたの。
その時に「映像ってめちゃくちゃ面白いな」って思った。例えば、ワンカットの出来事を文字だけで伝えるのってすごい大変だけど、映像ならワンカットの中で物事が動いてる様子が一発でわかるっていうのがすごい面白い。それで映像の仕事がしたいなって思って、そのままずるずる入った感じ。
Q きっかけは「好きなこと」だったんですね。
では、この仕事を始めて一番大変だったことは何ですか?
A 経験が浅かったっていうのもあるんだけど、中国のチベット自治区とウイグル自治区、この二か所にロケで行った時は本当に大変だった。特にチベット自治区のロケの際には、目的地に向かってる途中に雨で道が崩れてしまって、すぐそこが崖っていう一本道を車がずらーって連なって立ち往生!いや「車」往生か。
「人民解放軍が来てなんとかしてくれるから待ってろ」ってことになったけど食べるものはないし、雨は降ってるし、落石もあるしで、このまま石がぶつかって車ごと落ちたら100%死ぬっていう状況。
Q 生死の境目ですね…。おいくつぐらいの時ですか?
A ロケが2007年だから、33歳くらいの時かな。ディレクターにはなってたけど、一回ニュースの現場に出向してから社内に戻って完パケの番組を作り始めた頃だね。
海外のドキュメンタリーを本格的にやるのって初めてくらいで、その現場の責任者として完パケを作るのも初めてだったから、精神的にもかなり大変だったなあ。雨で先に進めないし食べるものもなくて…。
Q どれくらいの時間立ち往生していたんですか?
A 二日間くらい。持ってきた水とか乾パンとかはあったんだけど、すぐに次の村に着くはずだったんでそんなに量はない。その時に中国人てすごいなって思ったことがあって、そこで商売を始める人がいるんだよ。カップラーメンを輸送していたお店の人が、カップラーメン作って何元ですよってやってるわけ!その場にあるものを利用してたくましく生きる中国の国民性をみた。
当時チベットってほとんどの場所が未開放地区に指定されていたから、よっぽどのことがない限り外国人が入れない場所だった。そういう場所に行ったことで人生のいろんな価値観が変わったし、死にそうにもなった。そこである意味生まれ変わったのかもしれないね。
Q この業種じゃないとなかなか経験しない出来事ですね。
今度は逆に、めちゃくちゃ楽しかったことを教えて頂きたいです。
A 基本的に楽しいっていうことは、現場でやってる時は無いね。
Q ないんですか!?
A めちゃめちゃ大変だから(笑)。最近はタレントさんが出るロケが多いから普通のホテルに泊まってるけど、スタッフだけだと民泊とか当たり前だし、山奥でのロケだとホテルなんてない。お湯が出るとか風呂に入れるとか三食食べられるだけで嬉しいなって、それはもう取材じゃなくて冒険だね。
ロケから帰ってきて編集してるときも大変だし、テレビ局のプロデューサーに無理難題を言われたりすると「こんな仕事二度とやるか!」って思うんだけど、でも終わると自然と忘れちゃうなあ。
Q 完パケた時にやっと楽しさが感じられる?
A そうそう。普通の観光では絶対行けないところに行って、見られないものを見て、会えない人に会って、普段食べないものを食べたりとか、汚いものも含めてよ?それをカメラに収めて、なかなかできない経験したなーっていうのが一つの作品にまとまった時は嬉しいなって。
Q 自分の経験の記録でもありますもんね。だけど、やってる最中は全然楽しくない、と(笑)。
A まったく楽しくない!けど、番組の放送後に視聴者から手紙やメールで感想が来るのはすごく嬉しいし、達成感も感じる。
Q 意外でした!
では、一番やりがいを感じるぞ!っていう瞬間はどこですか?
A 企画書書いてる時かな。あそこ行きたい、ここ行きたい、これ見たいっていうのを調べて書いてるときは超楽しい!もっと言うと、それが実際行ってみて、「違う」っていうのを知った時が一番面白いかな。ネットとか本とか現地に電話するとか含めて、リサーチしてるのってやっぱりどうしても古いんだよ。自分が行ってみて、事前情報と違ってる!ってひっくり返すのが、面白い。
特にボリビア行った時に、やけどの子いたじゃん?
Q 女の子でしたっけ?
A そうそう、女の子。あれなんか全然事前の構成案にない。ロケ中に突然「急患です!」みたいな感じでひどいやけどを負った女の子に出会って、主人公の医者の人が「お前そこの石ひっくり返してミミズ探せ!」って。「ミミズ!?」みたいな。で、ミミズをガンガン潰してやけどの傷口に塗るんだよね。
日本に帰ってきて調べたら、ミミズには炎症を抑える作用があるっていうのがちゃんと科学的に立証されていた。現場では「ミミズかよ!?」って思うけど、同時に「超面白い!」って思いながら撮ってるわけ(笑)。
構成にもないし聞いたこともないような話もあって、もちろん、人の不幸を喜んじゃいけないんだけど、あの時は「よっしゃ!!」って。
Q 伝えることがやっぱり仕事ですからね。
本当に色んなことを経験してきた奥村さんですが、これからやっていきたいなって考えてること、可能な範囲で教えて頂いてもいいですか?
A 今までね、日本を除いてちょうど50か国行ってるのよ。で、五大陸で言えば、南極だけ行ったことがない。南極を絡めた番組をやってみたいんだよね。
あとは、多分、地球の「地上」って、基本的に大体撮り尽くされちゃってて見たことない場所なんてほとんどないはずなんだけど、人間がそれこそ行ったことないところってもう、宇宙はちょっと置いといてですけど、あとは海の中か洞窟なんだよ。そこも行ってみたいかな。
Q 誰も見たことがない景色を見てみたい。いいですね、冒険家のような。
A 見たことがないものを視聴者に届けたいっていうのもやっぱりあるかな。今でこそスマホやネットで何でもかんでも見られるけど、それって誰かがそこに行って撮ってこないと見られないじゃん。そういう仕事がしたいなーと思ってるんだけど、コロナ禍がこんな風なんでね…。
Q 早く実現できる日が来るように、今は備えて…。
コロナ禍でも、ものすごく壮大な夢を持っておられる我らが奥村さんですが、代表として、我々メディア・ワン社員にひと言いただけたらなあと思うんですけれど…。
A メディア・ワンに入ってくる人たちって、お金を稼ぎたいというだけで来た人って一人もいないと思っていて、多分みんな、なんとなくやりたいことがある。
だからこそ、言葉は悪いけど会社っていう組織を「利用して」、周りの先輩とかを「うまく使って」、やりたいことをする、行きたいところに行く、それを仕事にする。要するに商業ベースに乗っかったクリエイティブにしてもらって、それを実現してほしいな。1日8時間労働って言われてるけど、それって一生のうちに換算したらほとんど仕事してるわけ。自分のやりたいこととか趣味とかを仕事にできるように「企む」、企画するっていう風に考えると、結構人生楽しいんじゃないかな。
Q ありがとうございます!
「企んでほしい」社員がそろったメディア・ワン、いいところはズバリどんなところでしょうか。
A 風通しは比較的いい会社だと思う。「これしたいんですけど」「あれやってみたいんです」っていうのを、年齢とかキャリアの垣根を取っ払って相談して実現していくっていう土壌は昔からあるので、それは一つのアピールポイントかな。
今はコロナ禍による制限があって物理的には動けないけど、頭の中の思考は自由だからね。どんどん想像力をめぐらせてもらって、来年くらいに向けて牙を研いでおいてください!
Q ありがとうございます。
最後に、少し遅くなってしまったんですが2021年の奥村さんご自身の抱負をお聞かせください!
A 今年は正直、コロナ禍の影響でまだ好き勝手出来ないと思う。だから来年に向けて勝負できるような感じに会社の番組制作のシステムを再構築したいなと思っていて、うちの一丁目一番地、つまり一番得意とする旅モノ、ドキュメンタリーを国内でもっと太らせて、来年以降海外に出られるようになった時に、さらにいいものが作れるようにしたいな。
あとは、ディレクターになってから20年くらい、ずーっとアウトプットで頭の中のものを出しっぱなしだった。枯渇する寸前で「やべぇな~」と思ってたんだけど、昨年はインプットができた年だったから、今年はそれを整理する年にもしたいね。
Q 「整理」ですか?
A そう。今まで自分の得てきた知識、企画書の書き方とか構成の立て方とかね。それを一回整理して、ディレクター予備軍の若手社員に残していけるといいなーって。
Q ぜひよろしくお願いします!
A 脈々と受け継がれていくものが、メディア・ワンの力になっていくからね。
今は来年以降に向けてしっかりと土壌を作っておく年かなと思っていて、コロナ禍に負けずにホップステップジャンプのジャンプができる、「ステップの年」にしたいな。
Q そうですね、高く飛ぶためにはそれだけ準備も。
A しゃがまないとね。
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未曽有の状況が続く中、虎視眈々と、力強く高く「ジャンプ」する瞬間を狙っている奥村代表。我々社員も、コロナ禍に負けず頑張ってまいります。
2021年も、メディア・ワンをよろしくお願いいたします!